日本共産党市議団を代表し、「議案第26号 平成26年度多賀城市一般会計予算」から「議案第32号 平成26年度多賀城市水道事業会計予算」までの各予算案について、一括して討論をおこないます。
【1】どういう国家予算の中での予算だったか
まず、どういう国家予算の中での予算だったのかという問題です。
①ひとつには、消費税が5%から8%に引き上げら8兆円もの増税がおこなわれます。前回の消費税引き上げは、97年の橋本内閣時代で3%から5%への引上げでした。この時には緩やかな景気拡幅がすすみ、働く人たちの給料も引きあげられる中での引上げでしたが、たちまち景気は後退し、本市の市税収入は97年度の83億円から98年度は78億円に落ち込み、2004年にはとうとう73億円にまで落ち込みました。もちろんこれは政策減税等もあり消費税引き上げによる景気後退だけが原因ではありませんが、いずれにせよ消費税の増税が引き金になっています。
今回の場合、前回と比べても、働く人たちの平均給与年額が97年の446万円から16年間で70万円近くも減額している、国内総生産の四半期ごとの実質成長率を見ましても、2013年1~3月期は4.5%、4~6月期が3.6%、7~9月期が1.1%と景気が減速するなかでの引上げになるなど、一層悪い条件のなかでの引上げとなります。
私どもは消費税の引き上げは、家計を壊し、景気を壊し、財政を壊すと批判をしてまいりました。政府も景気後退を懸念して、「臨時福祉給付金」や「子育て世帯に対する臨時特例給付金」を支給しますが、いずれも1年限りであり、前回以上の急激な景気後退と税収減は必至です。財政の側面から見てもゆめゆめ幻想は持つべきではありません。
②二つめですが、それ以外にも、2015年度以降に購入する新規軽自動車の軽自動車税は、自家用乗用車で7200円から1万8000円に、貨物用自家用車で4000円から5000円に、50cc以下のバイクの標準税率が1000円から2000円になるなど増税されます。また復興特別住民税の徴収が開始されます。
③三つめに、年金の引き下げ、70歳から74歳までの患者負担が、4月以降に70歳になる方から2割に引き上げられる、介護保険では「要支援」の高齢者への介護保険給付の打ち切りをする、特養ホームの入所要件を「要介護3」以上にするなどの社会保障分野での制度改悪が実施されます。
④四つ目に、大企業には様々な恩恵措置をとっており、一般マスコミからも批判が出ております。とりわけ復興特別法人税は、復興特別住民税が25年間、復興特別住民税が10年間の課税なのに対し、法人税率をいったん30%から25.5%に引き下げたうえ、その1割を3年間に限定して課税する、というものでしたが、それも2年でやめることにいたしました。
⑤こうした結果、2014年度末の長期債務残高は、国が811兆円、地方が200兆円、合わせて1010兆円と、消費税引上げにもかかわらず、財政破たんは一層深刻になろうとしています。
【2】各種事業の問題点について
次に本市の予算についてであります。
①まず第1に、住民の暮らしへの配慮についてであります。
さきほど触れましたように、そうでなくとも国の施策により、住民負担がめじろ押しであります。それだけに、市民の暮らしをまもるために出来得る限りのことを模索すべきだと思います。ところが市は、各種料金に対する消費税も実にあっさりと転嫁することにいたしました。
とりわけ水道料金については、26年度も5036万円の黒字見込みであり、かつ26年度末に約5億円の正味運転資本を持っていることからも、また今後、県への負担金が下がることを考えても消費税負担分くらいは水道料金を下げて対応すべきだったと思います。
②第2に、福祉医療分野についてです。
「議案第28号 平成26年度多賀城市国民健康保険特別会計予算」につきましては、今回5割軽減、2割軽減の対象が拡大され、2割軽減について新たに国の助成措置がとられることになりました。また、被災者医療費自己負担助成することについては評価をいたします。しかし国保は依然厳しい状況におかれていまして、これは国庫負担割合が大きく引き下げられてきたことに原因があります。政府に対する批判の意味をこめて反対をさせていただきます。
また、同様に「議案第29号 平成26年度多賀城市後期高齢者医療特別会計予算」「「議案第30号 平成26年度多賀城市介護保険特別会計予算」につきましては反対を表明いたします。
③第3に被災者支援・復興関係の事業についてであります。
いよいよ災害公営住宅が、桜木を初めとして次々と完成することになりました。またそれにともない、入居支援で最大50万円まで「災害公営住宅入居費用支援制度」を創設し支援することになりました。これらについては評価をいたします。
同時に、25年度補正、26年度予算の審議を通じ、「東日本大震災復興基金」、
とりわけ「津波被災住宅再建支援分」が現在の制度のままでは有効に使いきれない可能性が大きくなってまいりました。この問題については、質疑のなかで、副市長が全体的な見直しを約束いたしましたので、守っていただくようお願いいたします。
さらに言わせていただきますと、震災直後から被災者支援という点では「自己資金は使わない」という非常に小さな構えがこうした事態を招いているということを率直に指摘したいと思います。
④第4に新図書館の問題についてであります。
まず、駅北周辺整備について申しますと私どももその成功を祈っております。同時に、藤原市議が昨年の6月議会で指摘し、市長もそのとおりと認めましたように、図書館を賑わいの手段としてはならない、図書館は図書館としての論理をつらぬき、結果として賑わいに貢献する、それが本来の在り方であります。
ところが、市当局は、CCCの意向のみに耳を傾け、市民からは意見を求めずに新図書館を建設しようとしております。
ひとつに、設計上の問題であります。
最初は1~2階を商業施設にし3~4階を図書館にしようという計画でありましたが、1階から3階まで図書館と商業施設を併設する方向で進んでいます。これは二つの点で――出店業者に何かあった場合、他に使いでのない施設になってしまうという点、子どもたちが安心して利用できる公共施設になるかどうか――という点において、将来に禍根を残すのではないかと危惧をいたします。また、1階から3階まで、床から天井まで本を積み上げ、幅1.5メートルの脇は吹き抜けとなっておりまして、安全上も大きな問題をもっております。
二つめに、本当にCCCに図書館を委ねて良いのか、真面目な検討がなされたとは到底思えません。市当局は「武雄図書館は成功している」と言うかもしれません。しかし武雄図書館は商業施設として成功しているのであって、図書館としてどうかという評価はまだくだせる段階ではありません。また、CCCの社長は「図書館は本のレンタル屋だ」と言い放ち、図書館カンパニー社長は「図書館にはいったこともない」などビックリするような発言をしており、すでに昨年9月にこの問題を提起していますが、真面目に検討するどころか、こうした発言を擁護する捻じ曲げた解釈までして強行しようとしています。また、Tカードについては、武雄市でも最も大きな問題になったにもかかわらず、いまだに検討をしていないとのことであります。
三つめに、こうしたことがどういう手法で実行されようとしているか。
視察に行っても満足な復命書が書かれない、すでに昨年7月段階で指定管理に向けCCCと協議をする、立派な復命書を書いても課長判断によりメモ扱いにされ議会に隠す、議会に説明した資料であっても「部外秘」にする、
議会で様々問題を指摘しても真面目な検討をしない、住民からの意見は求めない、従来の本市からしますと考えられないようなやり方が横行しています。
そもそも自治体の主人公は住民であり、住民とともに歩むというのが本市のモットーだったはずであり、図書館は図書館の理念をつらぬくというのが昨年6月議会での答弁でした。いまいちど原点に立ち戻ることを求めたいと思います。
⑤第5に、一本柳の工業団地と農地の大規模集積と土地利用構想の問題についてであります。
本年度予算に「津波復興拠点整備事業」として30億4120万円が計上されるなど、一本柳地区への工業団地造成事業が本格化することになりました。
造成費、雨水対策費を含めると、7~80憶円になるだろうと思います。その全額が復興交付金事業としてほぼ全額が国から交付されます。うまくやったといえば言えると思います。しかし、もっと広い視点で見て、投資対効果という点で非常に大きなロスがあり、本当に必要な事業だったとは思えません。
まず、これまで何度も指摘してきましたように、治水環境を著しく悪化させます。ふたつめに、本市の活性化というのだったら、まず、被災した後も頑張っている企業に敬意を表し、桜木地区の工業団地の再生に全力を上げるべきだったと思います。
「大区画圃場整備事業」について議論がありました。山王駅の南地区についてこの事業を行なうことについて、地権者の間にもさまざま意見があり、この事業から除かれる可能性もあるとのことだそうであります。
この問題では、私どもは、第5次長期総合計画の土地利用構想見直しの際に、「山王駅南地区については、駅周辺に相応しい活用を」と意見を申し上げました。その立場から再検討をしていただきたいと思います。
⑥第6に、住民と歩む市政、行政の公開・透明性の問題についてであります。
すでに新図書館のところでふれさせていただきましたが、これまででは考えられなかったようなことがつぎつぎ起こっております。これは単に図書館の問題に限ったことではありません。市政全般について、自己検討をやっていただきたいと思います。
以上、主として問題点について指摘させていただきました。一つ一つ触れる余裕はありませんが、もちろん「第一下馬踏切拡幅事業」「地域交通ネットワーク構築事業」「インフルエンザ予防接種助成事業」、城南小学校をはじめ各学校の環境整備事業等々評価できる事業もたくさん含まれております。これらについてはもちろん評価をし、また「議案第27号 平成26年度多賀城市災害公営住宅整備事業特別会計予算」「議案第31号 平成26年度多賀城市下水道事業特別会計予算」については賛意を表明し討論といたします。
2014年3月8日土曜日
2014年3月4日火曜日
2/25 市長「『図書館は本のレンタル屋』(CCC社長)の真意を確かめる」と答弁
25日、一般質問に立った藤原益栄市議は「多賀城市教委の図書館の基本方針と、CCCの図書館観は根本的な違いがあるのに、なぜCCCに指定管理ということになるのか」と質しました。菊地市長は「社長に会って真意を確かめる」と答えました。(『多賀城民報』2014.2.28より)
【藤原】第二次基本計画は『これからの図書館像』をふまえているか
【教育長】当然である
藤原市議はまず、菊地教育長に次のように質しました。
「平成18年3月に文部科学省生涯学習政策局の諮問をうけ、〈これからの図書館の在り方検討協力者会議〉が『これからの図書館像~地域を支える情報拠点をめざして~』という報告を出している。そこでどういうことが提起されているか。〈これまで日本の図書館は本の貸し出し中心に事業を展開し発展してきた。しかし今からの図書館は地域を支える情報拠点、すなわち、地域の課題解決支援や調査研究の要望にきちんと応えていかなければならない。そのために資料も書籍だけではなく、新聞、雑誌、チラシなど多様に収集し、また郷土資料をネットでも調べられるようにするなど(印刷物とIT両方を備えた)ハイブリット図書館をめざし、司書が利用者の質問に答えるレファレンス事業に力を入れる必要がある〉。本市教委の『第二次図書館基本計画』も当然この報告を踏まえていると思うがいかがか」
この質問に対し菊地教育長は(しばらく意味不明の答弁を繰り返しましたが、最後には)「当然ふまえている」と答えました。
【藤原】図書館の考え方が根本的に違うのに、なぜCCCに委ねるということになるのか
【教育長】………
この答弁を受け藤原市議は「つまり市教委の立場も『これからの図書館像』と同じ立場だということだ。ところが市教委が図書館を委ねようとしているCCCの増田宗昭社長は昨年7月6日の講演で次のように述べている。『すべてセルフPОSだし実際には本のレンタル屋だ。要するに図書館なんてものはない(会場笑)。名前は図書館だが、本のレンタル屋だ』(あすか会議2013)。つまり図書館は本を貸し出してさえいればよいというのがCCCの立場である。図書館に対する考え方が根本的に違うのに、なぜ公募もしないでCCCに図書館を委ねるということになるのか」
菊地教育長は結局答弁不能に陥りました。板橋恵一議長から「増田社長をよく知っている方が答弁してください」
と促されると菊地市長は「増田社長に会って真意を確かめます」と答えました。
この問題はすでに昨年の9月議会で柳原清市議が取り上げています。こうした問題を検討もせずCCCを指定管理の候補者として決定した市教委の態度はまったく無責任というほかありません。
【藤原】第二次基本計画は『これからの図書館像』をふまえているか
【教育長】当然である
藤原市議はまず、菊地教育長に次のように質しました。
「平成18年3月に文部科学省生涯学習政策局の諮問をうけ、〈これからの図書館の在り方検討協力者会議〉が『これからの図書館像~地域を支える情報拠点をめざして~』という報告を出している。そこでどういうことが提起されているか。〈これまで日本の図書館は本の貸し出し中心に事業を展開し発展してきた。しかし今からの図書館は地域を支える情報拠点、すなわち、地域の課題解決支援や調査研究の要望にきちんと応えていかなければならない。そのために資料も書籍だけではなく、新聞、雑誌、チラシなど多様に収集し、また郷土資料をネットでも調べられるようにするなど(印刷物とIT両方を備えた)ハイブリット図書館をめざし、司書が利用者の質問に答えるレファレンス事業に力を入れる必要がある〉。本市教委の『第二次図書館基本計画』も当然この報告を踏まえていると思うがいかがか」
この質問に対し菊地教育長は(しばらく意味不明の答弁を繰り返しましたが、最後には)「当然ふまえている」と答えました。
【藤原】図書館の考え方が根本的に違うのに、なぜCCCに委ねるということになるのか
【教育長】………
この答弁を受け藤原市議は「つまり市教委の立場も『これからの図書館像』と同じ立場だということだ。ところが市教委が図書館を委ねようとしているCCCの増田宗昭社長は昨年7月6日の講演で次のように述べている。『すべてセルフPОSだし実際には本のレンタル屋だ。要するに図書館なんてものはない(会場笑)。名前は図書館だが、本のレンタル屋だ』(あすか会議2013)。つまり図書館は本を貸し出してさえいればよいというのがCCCの立場である。図書館に対する考え方が根本的に違うのに、なぜ公募もしないでCCCに図書館を委ねるということになるのか」
菊地教育長は結局答弁不能に陥りました。板橋恵一議長から「増田社長をよく知っている方が答弁してください」
と促されると菊地市長は「増田社長に会って真意を確かめます」と答えました。
この問題はすでに昨年の9月議会で柳原清市議が取り上げています。こうした問題を検討もせずCCCを指定管理の候補者として決定した市教委の態度はまったく無責任というほかありません。