2013年7月28日日曜日

高さ3メートルのところに児童書がずらり…

日本共産党多賀城市議団として、24日午前中に伊万里市の図書館、午後武雄市の「図書館」、25日午前、指定管理から直営に戻した小郡市の図書館を視察して来ました。さしあたらり武雄市の「図書館」を見ての感想を綴ることにします。

①まず高い書架に圧迫感を感じました。個人差もあるのでしょうが、解放感と対極にある施設に、少なくとも私は「いつまでもいたい」などとはまったく思いませんでした。
②座って閲覧できる場所も少なく、「座りたい方はスタバにどうぞ…」と誘導されているようで不愉快に感じました。
③一番びっくりしたのは、高さ3メートルのところに児童書がずらり…。「いったいこの本は飾りなのか、読んでもらいたいのかどっちなんだ」と益々不愉快になりました。そして隅に追いやられた読み聞かせの場所…。子どもがとても粗末にされているように感じました。
④それは子どもに対してだけではありません。新聞コーナーも奥に追いやられていました。
⑤二階の回廊式の30メートルにわたる高さ4メートルの高架書架の一番上は張りぼて。CCCは張りぼてがとても好きなようです。上から二段目には『朝日新聞』の縮刷版。ご存知のとおり、新聞は、妹尾河童さんがそれを使って『少年H』を書いたように、実証的に歴史を検証するにはとても大事な資料です。それが高さ3.7メートルのところにずらり。やはり活用して欲しいというよりも飾りにされている感じです。しかも「高所の書籍をお入用の方はスタッフにお申し付けください」と張り紙があるのですが、二階にはスタッフはいませんでした。
⑥武雄市の首脳は「蘭学館は閉鎖したのではなく移動したのだ」としていますが、展示は申し訳程度に映りました。
⑦書店としても雑誌中心で、とても中途半端に思いました。そもそもあのスペースに書店スペースを設けること自体が無理ではなかったか、と感じました。
 総じて、「もはやこれは図書館ではない」というのが私の率直な感想で、「なぜマスコミが無批判にもちあげるのか、まったく理解できない」との思いを強くしつつ帰途につきました。

 他方伊万里の図書館は素晴らしかったです。それはのちほど…。

2013年7月17日水曜日

「新多賀城図書館の企画・設計のCCCへの依頼は中止せよ」

 日本共産党市議団は11日の記者会見を受け、次の見解を発表しました。

(1)図書館とは「図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、保存して一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクレーション等に資することを目的とする施設」(図書館法第2条)であり、幼児からお年寄りまで、静かな環境のもとで安心して使用できる施設であるべきものである。ところが今、数十億円の巨費を投じつつ、菊地市長とCCCとの間で図書館から大きく逸脱する施設が造られようとしている。
(2)その一つは、図書館の中にツタヤの営業フロアーばかりか、カフェ、レストランも設置され、お酒まで提供される予定である。また利用者の利便や安全性は軽んじられ、超高架書架は武雄市のそれをさらにエスカレートさせ、三層にしようとしている。これはもはや図書館とは言い難く、図書館の蔵書に囲まれた書店とレストランというべきものである。
(3)いま問題だらけのこの構想が、議会や市民には真相を隠しつつ、「所管は教育委員会」と検討を委ねがらさっさと企画設計をCCCに委ねるなど、教育委員会をも愚弄し、武雄市以外の図書館を見たことがない市長により独断的に強行されようとしている。もし強行するなら、取り返しのつかない施設を造ることになると同時に、市と市民の関係もくずれ、市長も人間的信頼を失うなど大きな代償をはらう結果となることを指摘せざるを得ない。
(4)日本共産党多賀城市議団は心ある市民のみなさんと共同し、新図書館のCCCへの企画設計の依頼を中止するよう強く求めるとともに、問題の解明に引き続き奮闘するものである。

2013年7月12日 日本共産党多賀城市議団

新多賀城ツタヤ図書館では酒も提供!?

 各紙は12日、多賀城市と「ツタヤ」を経営するCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)との連携協定の内容として、多賀城市は多賀城駅前に移転予定の新図書館の企画設計段階から、CCCの企画提案を受けると報じました。
◆新図書館内にレストランとカフェをつくり酒も提供する
 その内容としてCCC側も「レストランとカフェのある図書館」(同社ネット配信記事)をめざすとしており、『朝日』(12日付)はそこでお酒を提供する予定であるとCCCの意向を報じました。
 『朝日』の記事は以下のとおりです。
   見出し「多賀城ツタヤ図書館正式発表/ポイント付与検討/レストランで酒も」
   本文「大人には併設のレストランで夜に酒を飲めるようにする」。
 「併設のレストラン」とは、図書館の外に併設されるレストランではなく「図書館内」であることは明白です。
 図書館内にレストランとカフェをつくる予定であることは、記者会見当日、CCCが持参したイラストでも確認することができます(ネット上で見ることができます)。
 これに対し市民からは「市長はいったい何を考えているのか」「これでは子どもをひとりで図書館にやれなくなる」等の批判や不安の声が出ています。
 これはもはや図書館ではありません。周りを図書館の蔵書で装飾したお酒の飲めるレストランです。


新多賀城ツタヤ図書館はもはや図書館ではない

◆CCCが考える図書館は――三階ぶち抜き、床から天井まで三層の超高架書架
 11日の記者会見に用意されたイラストにより、CCCが考える新多賀城ツタヤ図書館の概要も明らかになりました。
 それによると、新図書館は三階ぶち抜きで、床から天井までの超高架書架を三層にし、壁いっぱいにこれまでの図書館の蔵書を並べます。そして一階フロア―はツタヤの雑誌売り場やレンタル店、レストラン、カフェにするというものです。 超高架書架は武雄市でも問題になっていますが(高さ3・9㍍)、上の本は何の本か見えず、手にするのも巨大な脚立が必要になります。利用者の利便性と安全性はまったく顧みられていません。
 結局武雄市同様、これまでの図書館の蔵書はツタヤの景観づくりに利用されるということになりそうです。
◆数十億円もかけ「ツタヤ」以外に使いでのない建物にして良いのか
 CCCが考える建物は三階ぶち抜きで、二階三階フロアーは一部だけ…。数十億円もかけ、ツタヤ以外には使いでのない建物にしてよいのでしょうか。図書館は半世紀にわたり使用する施設です。本当にCCCに図書館の企画・設計をまかせてよいのか、いま一度、市職員、教育委員会、議会、市民みんなが冷静に考えるべき時ではないでしょうか。

2013年7月11日木曜日

多賀城市長、突然「CCCと連携協定締結の記者会見をする」と発表

 7月9日午前に行われた多賀城市議会東日本大震災調査特別委員会で、菊地健次郎市長は突然「駅前への蔦屋書店の出店とまちづくりへの企画提案を内容として、7月11日にCCCと共同の記者会見を行う」と発表しました。 記者会見は、11日正午に東京で、午後5時に多賀城で行うとしています。
 私は「明後日会見というなら何らかの合意文書ができているはずだ」と文書の提出を求めましたが「文書はない。内容は『蔦屋書店の出店』と『東北随一の文化交流拠点づくりの企画提案』でその他については今後協議していくことになる」と述べ、文書提出は拒否。
 さらに「図書館の運営をゆだねることについては合意内容に入っているのか」と質したところ、「(現時点では)入っていない」との答弁。
 この特別委員会は「補正予算に計上している復興交付金事業(特に清水沢多賀城線)について事前に説明をしたい」との当局からの申し入れで開催したもの。こうした市長表明があることは、全く議会に知らされていませんでした。私は「やり方まで武雄のまねをするのか」と批判しましたが、こうした進め方について与党会派からも批判の声が出ました。

2013年7月1日月曜日

多賀城「図書館をツタヤにまかせてよいのか―新図書館を考える市民のつどい」に90人!

 6月30日午後、「くらしと民主主義、史跡・緑を守る多賀城懇話会」「多賀城図書館友の会」主催による「図書館をツタヤにまかせてよいのか―新図書館を考える市民のつどい」が市内で開催され、市内外から90人が参加。常世田良立命館大学教授の講演、武雄市の井上一夫氏の報告を聞き、「図書館の書店化は許さない」の決意を固めあいましました。

 参加者は佐賀、滋賀、大阪、東京など各地からもあり、あらためて「多賀城が第二の武雄図書館になるのか」と注目されていることを実感しました。

 私も報告しましたが、経過についてはこれまでブログで発表してきたとおりです。今後の問題として、①武雄市図書館の実態をできるだけくわしく知ること、②どういう図書館が欲しいのか、すべきなのか、よく話し合い、市当局とも意見交換を丁寧にすすめること、を提起しました。

 
 常世田氏は「いま社会は自己責任社会――自ら情報を集め自ら決定しなければならない社会になりつつある。ところが情報は、書店、ネットともに一面的にならざるを得ない。その中でバランスよく系統的に資料を集めているのが図書館。いま図書館の情報で就職したり起業したりする例も出ている。今は図書館の出番」と語りました。

 
 井上氏は図版を駆使し、以前の武雄図書館と今の武雄図書館の比較を丁寧におこない、「ひとことでいえば図書館の書店化だ」と語りました。
 私としては超高架(3.9㍍)の書架がなぜ30㍍も造られたのか疑問でしたが、「それが最も良く見えるのはツタヤの雑誌置き場のところ。図書館の本がツタヤ書店の景観づくりに利用されたのでは…」との指摘にえらく納得。そういえば仙台市・泉のツタヤ書店にも本の壁紙が使われていました。

 常世田先生が言っていました。「図書館には3年目のジンクスというのがある。開館当初は物珍しさもあり入館者は多い。だが、3年目に試練を迎える。努力しない図書館は入館者が極端に減り始める。良い図書館は継続する」。情報によると多賀城以外にもCCCに運営を委ねることを考えている自治体がありそうです。「書店のような図書館にするのは慎重に」と改めて思いました。






写真上:「つどい」全体の模様。